合成音声出力の二次利用とか
今は、Ubuntu版ソフトが殆どダウンロードされない状況を打開すべく、それらの宣伝の意味もあり、新しいブログサイトをWordPressで立ち上げようとしているのだが、今日は、何故か、途中から、無関係の話をネットで色々と調べたりしていた。
何を調べていたのか、というと、Windows8以降に内蔵されている「Microsoft Haruka Desktop」による合成音を録音した結果を、YouTube等の動画に使ってもよいかどうか、という事だ。
もっとも、作者的には、MasterReversiのレジストユーザー向けに提供しているEdaxBoardの宣伝用動画を、AmuseGraphicsに実装している音声合成機能を使って、「Microsoft Haruka Desktop」のナレーション付きで、1年くらい前にYouTubeにアップしてある。
また、今年に入って作成したMirror-DTC for Macの宣伝用動画でも、同様に、「Microsoft Haruka Desktop」を使いつつ、YouTubeにアップした訳だ。
つまり、作者的には、普通に「Microsoft Haruka Desktop」による合成音を録音した結果を、YouTubeにアップロードしてきた訳なのだが、これは、例えば、CADソフトを使って作成した図面の著作権がCADソフトのメーカー側にある、なんて事になったら、そんなCADソフトを使う人はいないだろう、というのと同じ話だった訳だ。
なので、作者製ソフトでも、MasterReversiでは、その利用規約に、MasterReversiを使用して作成したリソースデータについては、その著作権はユーザーに属する、みたいな事を明確に書いているし、この前、AG-デスクトップレコーダーの商用利用に関するメールを貰った時にも、AG-デスクトップレコーダーが出力したファイルの著作権はユーザー側にあると考えているので、そのファイルの頒布については、作者に了解を求める必要はない、と、回答した訳だ。
もっとも、念の為に書いておくと、上記の回答では、作者に了解を取る必要はないものの、mp4ファイルでデータ出力して、それを頒布する場合には、特許の権利者に対してライセンス料を支払う必要がある場合もあるので注意して下さい、みたいな話は書いておいた。
場合もある、と、書いているのは、12分未満のファイルであれば、料金を支払う必要がない、みたいな話になっている感じだからなのだが、それ以前の問題として、作者製ソフトは、AGM形式を除き、それ以外の形式については、そのエンコーダーとデコーダーはWindows内蔵のモノを使っている。
なので、mp4エンコーダーとデコーダーのライセンス料は、一応は、Windows代金に含まれているのだが、マイクロソフトのライセンス条項 の13-b、つまり、「追加の注意事項 - H.264/AVC および MPEG-4 ビジュアル規格と VC-1 ビデオ規格」 によると、「消費者による個人的かつ非商業的使用」以外では、特許のライセンスは付与されない、という事になっている。
つまり、エンコード結果のデータを販売する様な場合には、Windowsに実装されている機能だからといっても、そのmp4エンコーダーを使って商品とするデータをエンコードする事自体が認められない感じのライセンスになっている訳だ。
なので、前述のメールでは、mp4ファイルを頒布するのではなく、WebMの様なロイヤリティーフリーの形式に再エンコードする事を勧めておいた。
で、その時は失念していたのだが、WMV形式というのは、ある時期から、上記のVC-1ビデオ規格と同一視される事になったので、今の利用規約では、WMVについても、特別なライセンスを別途取得しない限り、商用利用は不可、という事になっている様だ。
と、言うことで、商用利用する場合には、AG-デスクトップレコーダーの出力ファイルはAGM形式で出力し、AGMDecoderをインストールした環境でDirectShowに対応したエンコーダーでWebM形式に再エンコードしてから、そのファイルを使う、というのが、最も、問題は無さそうなのだが、WebMというのは、Windows環境では冷遇されているので、Chrome/Firefoxなんかのブラウザで再生させる事を想定しない場合には、出力ファイルは、時代遅れ感は否めないのだが、AVI形式(MJPEG+PCM)で出力するのが無難かもしれない。
上記の通り、作者的には、普通に、ライセンスは遵守する人な訳なのだが、前述の様に、「Microsoft Haruka Desktop」による合成音を録音した結果の利用に関しては、何の問題もない、と、思っていた訳だ。
しかし、今日、ネットを見ていると、次の様なページを発見してしまった訳だ。
【Windows10】音声合成ファイル(wav)を「棒読みちゃん」アプリで作成する
で、上記のページには、Haruka Desktopについて「MSの付属のこの手のものって、はっきりしたことがわからないので、怖くて利用できないですね。」、と、記載されていた。
同様の話は他のページにも幾つか書かれていたので、作者的には、危なっかしい事をしていたのかなあ、と、色々と調べてみたのだが、その結果としては、以下のページも見つけた。
SAPI voices and commercial usage of created .wav files?
上記は、マイクロソフトのMSDNでの質問になるのだが、回答は付いていない。
なので、確かに、マイクロソフトは、公式には、はっきりとしたことは言わないみたいなのだが、以下の様なページもあった。
上記の中で、前述の二次利用の話が出て来ているのだが、最終的には、「私もマイクロソフトの中の人に教えていただきましたが,光敏さんにも上記に書いていただいたように,MS社の無料の音声エンジンを試用して生成された音声ファイルは「商用,非商用問わずAgreementに書いてないので使用してOK」とのことです。」
と、言うことになっていた。
上記だけでは、意味不明、という人もいる筈なので、更に、調べてみた所、以下のページも見つけた。
回答を行っているのは弁護士さんで、以下の様に回答している。
テキスト読み上げ機能における各音の音声合成データそのものは著作物とは考えにくいので,オリジナルテキストを読み上げた音声合成データの録音,アプリへの組み込みは著作権の侵害にはならないと思われます。
ただし、
なお,テキスト読み上げ機能の利用規約として,上記利用が制限されているかを確認する必要はあります。
と、いう条件は付けているのだが、ここまで読むと、前述の「Agreementに書いてないので使用してOK 」という話の意味が判る筈だ。
つまり、常識的には、合成音声の録音データに対しては、その合成音声を出力するツールを開発している側の著作権は存在しないので、そのツールの利用規約に、出力データの頒布禁止、みたいな禁止事項が謳われていなければ、それをYouTubeなんかにアップロードしようが、第三者に提供しようが、勝手、ということになる筈な訳だ。
そして、音声合成結果の利用方法については、作者に提示されているマイクロソフトのライセンス条項等に、前述のH.264の様な注意事項はないので、作者的には、利用するのは問題ない、と、思っているので、Haruka Desktopを使って出力した音声データを使った動画をYouTubeにアップしている訳だ。
もっとも、前述の様に、MSDNで行われた直球の質問に対して、マイクロソフトは回答していない訳だ。
そして、作者がアップした動画なんて、大物YouTuberの動画に比べれば、殆ど、視聴はされないので、現状では、マイクロソフトからクレームは来ていないのだが、これは、マイクロソフトがそういう動画がアップされている事に気がついていないから、という可能性もある訳だ。
もっとも、YouTube上で、Haruka Deaktopが使われた他の動画はあるか、というのも調べてみた所、結構、あったし、YouTubeに限らず、録音したデータを自らのWebサイトで公開しているサイトも、それなりにはあった。
にも関わらず、特に問題になっていないので、やはり、Agreementに書いてないので使用してOK ということだとは思われるのだが、念の為に、YouTubeの動画よりは、アクセス数が多い、このブログでも、この件についての記事を書いておくことにした。
つまり、作者の認識に問題がある様なら、マイクロソフトの担当者さんには、その旨を、作者にメールで連絡して欲しい訳なのだが、そのメールの内容が法律的に正しい、という事になったら、作者的には、Haruka Desktopの二次利用は、即刻、やめるし、その旨はこのブログ等で大々的に公表する事にする筈だ。
まあ、MSDNでの公開質問に回答していないにも関わらず、個人ブログの記事には見解をメールする、なんてことは無いかもしれないのだが。