Mac版AGMConv Ver1.1.2を公開
Ver1.1.2では、Appleシリコン用のネイティブコードを開発し、従来のIntel CPU用のコードと合わせて、ユニバーサルバイナリ化しました。このため、Appleシリコン搭載Macでは、従来版よりも高速に動作する様になりました。
従来バージョンは、Intel CPU環境下で動作する事を前提とし、Intel CPU用のSIMD命令であるSSE2命令を多用していました。
このため、Appleシリコン搭載Mac用のネイティブコードを開発するにあたっては、SSE2命令の代わりにARM用のSIMD命令であるNEON命令を使う処理コードを新たに開発し、SSE2命令を使う処理ルーチンを置き換えました。
その結果として、本バージョンは、Appleシリコン搭載Mac上では、従来のIntel CPU用コードをロゼッタ2で動作させるよりも、通常は、高速に動作する様になっています。
ただし、Intel CPU用のSSE2命令とAppleシリコン用のNEON命令は、共に、複数のデータに対して同じ演算が同時に行える為、通常のCPU命令を使うよりも、画像処理を高速に行えますが、両者で使える命令が異なる事から、全ての処理で同じ性能向上率にはなりません。
また、AGM2-RGB形式の様な圧縮率が低い形式への変換時には、通常は、CPU処理が高速化されても、ストレージ速度がボトルネックとなり、全体の処理性能は向上しません。
mp4形式への変換についても、エンコード処理はmacOSの内部処理として実行される為、本ソフトの内部処理が高速化されても、macOS側の処理速度がボトルネックとなり、変換速度は高速化されません。
逆に、AGM3-DCT+ / AGM3-DCTの様な、圧縮率が高く、本ソフト内で変換処理が行われる変換については、Appleシリコン搭載Macでは、従来バージョンよりも、本バージョンの方が、通常は、高速に動作します。
ただし、ロゼッタ2は、Intel CPU用の命令をAppleシリコン用の命令に変換して動作させる仕組みになっていますので、これを使った場合にも、Intel CPU用のSSE2命令はAppleシリコン用のNEON命令に置き換えられて動作すると考えられます。
このため、SSE2命令からNEON命令への変換を手作業で行なったからといって、本バージョンがロゼッタ2での動作時と比べて、圧倒的に高速になる事はなく、性能向上率は1〜2割程度に止まります。
上記の通りですので、本バージョンは、Intel CPUが搭載されたMacでは、従来版から置き換えるメリットはありませんので、バージョンアップする必要はありませんが、Appleシリコンが搭載されたMacでは、処理性能が少し向上する可能性がありますので、バージョンアップされる事をお勧めします。
なお、Macでは、過去にCPUをPowerPCからIntelに変更した事があり、その当時にも、ロゼッタという仕組みを使ってIntel CPUが搭載されたMac上で、従来のPowerPC用に開発されたソフトを動作させる事を可能としていましたが、このロゼッタは、OSX 10.5で初搭載され、OSX 10.7では廃止されました。
つまり、ロゼッタ2についても、過渡的に搭載されている機能と考えられますので、1,2年後くらいには、利用できなくなる事が想定されますが、本バージョンはロゼッタ2がなくても動作するユニバーサルバイナリになりましたので、ロゼッタ2が廃止された将来のmacOSでも、利用できるソフトになっています。
AGMConv Ver1.1.2は以下のダウンロードページからダウンロードできます。
AGM Converter for Mac ダウンロードページ
http://t-ishii.la.coocan.jp/download/AGMConvM.html
- 2021/07/17追記 -
Ver1.1.3に更新しました。(Appleシリコン用コードの不具合修正)